インターコンチネンタルホテルやクラウンプラザホテル、ホリデイインなどのホテルを擁するIHGグループの会員プログラムは、マリオットなどと比較すると今一つ魅力に欠けるものでしたが、2022年に「IHG One Rewards」として一新され、非常に魅力的なプログラムとなっています。
本記事では、そのIHGプログラムの核となるマイルストーン特典のうち、ポイントによる無料宿泊(Reward Night)での利用も可能となった「確約スイートアップグレード」(CSU)について、実経験を交えて報告します。
IHGのマイルストーン特典:2022年開始のOne Rewardsプログラム
2022年6月からスタートしたIHGの新しいOne Rewardsプログラムの一つの目玉は、ダイヤモンド・ステータスの朝食無料特典が導入されたことですが、もう一つの大きな柱はマイルストーン特典です。
マイルストーン特典は、20泊以上10泊ごとの宿泊実績マイルストーンを達成すると、各段階で定められた特典を選択できるというものです。具体的には、以下のマイルストーン特典が設定されています。
| 宿泊 実績 | 選択可能な 特典数 | ボーナス ポイント | フード& ドリンク | 確約スイート アップグレード | 年間ラウンジ メンバーシップ |
|---|---|---|---|---|---|
| 20泊 | 1 | 5k | 2 | 1 | – |
| 30泊 | 1 | 5k | 2 | – | – |
| 40泊 | 2 | 10k | 5 | 1 | 1 |
| 50泊 | 1 | 10k | 5 | – | – |
| 60泊 | 1 | 10k | 5 | – | – |
| 70泊 | 2 | 10k | 5 | 2 | 1 |
| 80泊 | 1 | 10k | 5 | – | – |
| 90泊 | 1 | 10k | 5 | – | – |
| 100泊 | 1 | 10k | 5 | – | – |
マイルストーン特典のうち、5k(5,000)または10k(10,000)のボーナスポイント以外は、以下のような特典となっています。
- IHGグループのホテル(一部例外あり)に宿泊中に、1枚で2,000円分の飲食費に充当できるクーポンのような特典(米国等は20ドルなので、円安の今は少し損?)
- 宿泊中に使えるフード&ドリンク特典の枚数は制限なし
- 獲得から1年間の期限あり
- 宿泊中に部屋付けにした飲食費をIHGアプリから確認し、アプリでF&D特典使用を選択する
- 会員が泊まる1部屋について、エントリーレベルのスイートへのアップグレードを事前に確約
(スイートではなくプレミアムルームの場合あり) - 宿泊の14日前から1日前まで、IHGカスタマーサービスへの電話で利用可能
- 1枚のCSUで1予約(1~5泊)のアップグレードが可能
- ベストフレキシブル料金(BFR)、会員割引料金、無料宿泊(Reward Night、ポイント泊)等の料金プランで標準ルームを公式予約することで利用可能(前払い料金等での予約は不可)
- スイートやクラブルームにアップグレードされても、ラウンジアクセス権等は付かず部屋のみ
- メンバーシップ保有者は、同伴者1名を含めて滞在中のクラブラウンジへのアクセス権を獲得
- メンバーシップは、マイルストーン選択時からその翌年末まで有効
- クラブラウンジ・スペース以外で提供されるサービス(空港送迎、プレスなど)は利用不可
- 公式チャネルの有料宿泊のほか、無料宿泊、OTA経由予約での宿泊時も利用可能
IHGプログラムでは、ポイント利用による無料宿泊(Reward Night)と、提携クレジットカード等で獲得可能な無料宿泊(Free Night)の2種類があります。日本ではIHG提携カードはないことから、日本語版IHG規約に倣って、ポイント利用宿泊のことを「無料宿泊」と呼んでいます。
CSU導入時は混乱もあったが、徐々に使いやすい特典に
CSUは、他のマイルストーンと同様に2022年6月に運用が始まりましたが、その実際の適用には紆余曲折、混乱もあったようです。フリークエントフライヤーのコミュニティ情報等から、簡単な経緯をご報告します。
一番問題になり、混乱も見られたのが、CSUを適用可能な料金プランです。
CSUについて規約では、対象料金プランはベストフレキシブル(BFR)、会員割引などの「適格料金」で、事前デポジットが必要な予約は対象外と書かれていました。ところが蓋を開けてみると、BFR以外の料金では不可と言われてCSU適用を断られたとの報告が相次いでいたのです。
BFRより3%割引となる会員割引料金は、規約にも明示されていたので不可というのはおかしな話ですが、CSUは電話による適用で担当者によるバラツキがあり得るなか、担当者が使用しているシステムにも問題があったのか、混乱があったようです。
ただ、こうした混乱は次第に収まり、2022年を通じて定着していった様子です。
私は、2023年に入ってから沖縄のインターコンチネンタル万座でCSUを申請してみたのですが、そのときはまったく混乱もなく、会員割引料金での予約で見事に「名護ベイスイート」へのアップグレードに成功しました!

IC万座での宿泊は、シーズンオフの平日だったので2万円以下の標準ルーム予約で、10万近くのスイートにアップグレードして頂き、ちょうどラウンジ・メンバーシップも獲得できていたので、素晴らしい滞在となりました。





無料宿泊でもCSUが適用可能に!
このCSUが利用可能となる料金プランについては、運用が開始された2022年6月の規約では、無料宿泊は対象外料金プランとして例示されていたのですが、カッコ書きで「将来的には適用可能」とされていました。
Confirmable Suite Upgrades cannot be used with the following rate types:
IHG One Rewards Member Benefits (2022年6月10日確認)、強調マーカー等はYururi
- Group rates, package tour or ・・・・・
- Reward Night/Free Night (eligible at a future date)
- Non-Qualified rate like Wholesale, OTA, and Employee rate
- Prepaid rates if deposit is already applied
- Some hotel defined packages
これを見て、実は2023年のIC万座での宿泊もポイント利用の無料宿泊でCSU可能?などと期待していたのですが、これが遅れに遅れました…
なかなかピシッといかないのがIHGのあるあるらしいですが、そもそも適用料金の判定が不安定な中で無料宿泊への拡張も進まぬまま1年が経過していました。
プログラム開始から1年となる2023年6月、ついに無料宿泊でのCSU適用が可能に・・・との話が一部流れたものの、その後も産みの苦しみ?は続いたようでネットで確認できる情報も錯綜状態でしたが、2023年11月にはマイルストーン規約が改定され、ポイント宿泊が正式にCSUの対象料金プランとなりました。
Confirmable Suite Upgrade can only be applied to stays that are on an eligible rate, e.g., Best Flexible, Member Discount, Reward Night, ・・・
IHG One Rewards Member Benefitsより引用(2023年11月11日確認)
実は、無料宿泊でのCSUが可能となってすぐ、実際にCSUを使うことができましたので、この後ご報告します!
なお、CSU適用可能な料金・予約経路については、最新の規約でも以下は対象外となっていますので、注意が必要です。。
- アンバサダー週末無料宿泊(将来的には適用可能)1
- ANA-IHGサイト(www.anaihghotels.co.jp)および日本のホテル独自サイトでの予約
アンバサダー週末無料宿泊でも早くCSUが利用可能になって欲しいですが、日本独自の問題として、ANA-IHGサイトでの予約にはCSUが利用できないこと、注意が必要ですね。
ANA-IHGサイトは、宿泊実績やポイントなどすべてihg.comと同じ公式サイト扱いとなっているのですが、CSUでは対象外の扱いとなってしまいましたのでご注意ください。
IHGとANAの合弁会社(IHG ANAホテルズ)が運用するサイトで、ANA会員の優待プランなどIHG公式(ihg.com)では予約できないプランが予約できます。日本国内のIHGホテルのみを対象としており、日本独自のきめ細かな情報も提供され、全国旅行支援の対応情報、専用プラン販売なども行われていました。
なお、IHG ANAホテルズの予約システムは2023年4月に変更され、www.anaihghotels.co.jpからgo-ihghotels.reservation.jpに移行しています。
実際に無料宿泊でCSUを申請してみました!
2023年11月、実際にポイント利用の無料宿泊で、CSUを申請しました。
ホテルは、クラウンプラザグアム。実は、CSUが無料宿泊でも利用可能になる見込みと聞いて、先行して無料宿泊で予約していたのですが、上に書いたようにギリギリまではっきりしない状況で、少し気を揉んでいたのでした(^^;)
14日前
CSUの申請は宿泊の14日前からで、申請はカスタマケアセンターに電話で行う必要があります。ダイヤモンドメンバーは、専用ダイヤモンドデスクへの電話でOKです。
ただ、あいにく14日前は日曜日。日本のカスタマーケアセンターはお休みです。ダイヤモンドサポート、共通国際窓口に電話しようか迷ったのですが、スイートの空きに余裕がありそうだったこと、初めてのCSUでトラブル報告例も多かったことから、月曜日に日本のカスタマーケアセンターに電話することにしました。(要は英語力の問題ですが・・・)
13日前――
再度ウェブサイトでスイートの空きをチェックしたうえで^^;、カスタマーケアに電話。
CSU適用希望を伝えると、無料宿泊ですねーと適格料金プランであることを単純に確認した後は、直ぐに利用可能なスイートを探している様子。

程なく言われたのは、プレミアムルームは可能だが、スイートはない・・・とのこと。通常予約画面ではスイートは複数開いていたので、それも伝えて再度確認してもらおうと話していると・・・
「あっ、1キング・ジュニアスイートがありました!」
その上のランクの1ベッドルームスイートも予約画面では出てくるので聞いてみたところ、それはCSUの対象にはなっていないとのことで、ジュニアスイートをお願いしました。
その後は、キャンセルポリシーだけ再確認されただけで、「それでは変更させていただきます」となって、あっけなくCSU申し込みは終了しました。
電話を終えてIHGウェブサイトを見ると、すでに1キング・ジュニアスイートへの変更が反映されていました!
ちなみに、このときのCPグアムのポイント泊は2泊で57,000ポイントですが、有償での予約は当時可能だった20%引き料金で249×2=約500ドル。そのときの為替は1ドル=150円強だったので、1ポイント=1.3円強。
円安の「おかげ」でお得なポイント交換でした!

さらに・・・上の画面にあるように、ジュニアスイートの当日の料金は488ドルだったので、1泊7万円以上の計算です。2泊だと・・・
とってもお得な宿泊ができて、CSUの価値を感じた滞在でした!
まとめ
IHGが2022年6月に開始したマイルストーン特典の一つ、確約スイートアップグレード(CSU)について紹介しました。ポイントを以下にまとめます。
- CSUは、20泊のマイルストーンを達成すると選択できる(40泊、70泊で再度取得可能)
- 公式サイト(ihg.com)で予約し、14日前に電話で申し込みが可能
- ポイントを使った無料宿泊でも利用可能に!
- 一つのCSUで、5連泊までアップグレードOK!
ただし、いくつか注意点もあります。
- 前払い料金、アンバサダー週末無料宿泊など対象外となる料金プランあり
(ANA-IHGサイト、日本のホテル個別サイトでの予約も不可!) - CSUが利用可能な枠には制限があるほか、プレミアムルームのみ利用可能なホテルもあり
(スイートへのアップグレードが保証されている訳ではない) - 1つの予約番号にのみ適用可能(連泊時の予約方法には注意)
- 電話対応のみで、ネット申し込みは不可(カスタマーケア・スタッフの質にバラつきも?)
と、いくつか注意点、改善してほしい点もありますが、2回の利用で、とてもお得な特典と実感しました。20泊のマイルストーンが達成できた場合には、是非CSUを選択して有効に活用してみてください!
- 規約では、(クレジットカード等による)無料宿泊もアンバサダー週末無料宿泊とともに併記されています(日本ではカードでの無料宿泊はないため省略しています) ↩︎


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